<コラム>大学の”ブランド”とは果たして何なのか?①

これまでのコラムでも述べたように、私には2人の高校生の子どもがいます。

いま5月ということもあり、以前図書カード欲しさに子どもが申込みをした大学の資料請求サービスのおかげで、毎週大学案内のパンフレットが山のように届いています。その8割9割が、一度も読まずにゴミ箱行き。

私も過去に大学パンフレットの企画ディレクションを行った経験もあり、制作会社や大学様、双方の負担の大きさや予算規模などを知っているだけに、何だか切ない気持ちになりました。

そして、高校3年生の長男のこともあるので、彼が行きたいと言っている大学のパンフレットを見て、以前も同じ気持ちになったのですが、あらためて大きなショックを受けました。

いろいろ書いているのだが、結局よくわからない。
いろいろ書いているのに、知りたい情報が実はない。

特に各学科などの情報については、消化不良で、結局別途、学部の案内パンフレットを請求しなければならないようでした。

と、そこで気持ちが切れました。(もういいや…と)

ここに、子どもの進学時における保護者の方の実態調査データがあります。
(引用:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ様調査)

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実に7割の保護者の方が、子どもの進学の相談は難しいと感じています。
当たり前です、十数年前、二十年数前の時とは大学も変わっているのですから。
きっと、大学職員の方々にとっての知ってて当たり前の情報ですら、当たり前のことではないのでしょう。

私が大学のパンフレットで感じた「結局よくわからない」「知りたい情報が実はない」とは、少し言葉に語弊があるかもしれません。実際、パンフレット内には確かに欲している情報そのものは書いています。
(パンフレット制作の仕事に関わっていたので、どこにどの情報があるかも知っています)

しかし、私が知りたい情報はそれではないんです。
たとえば、進学費用。親が負担する進学費用は学費だけではありません。生活費も含め「いつ、どれだけお金が必要なのか?」です。将来の職業の関連とは「大学がPRしたい、いいデータではなく、我が子がこの大学・学部に進学し、どういった就職の可能性があるのか?」です。「学部・学科の内容」とは、「入学してから1年生~卒業まで、具体的にどんなことを学んでいき、どのように成長していけるのか?」ということです。
親の“知りたい”とはつまりそういうことなんだと思います。

 

● 親の“知りたい”をこと細かく情報開示するのは難しい

残念ながら、親が知りたい!と思うことを細かく情報開示することは困難でしょう。
ページ数に限りもあれば、一人ひとり知りたいニーズは微妙に異なります。
もちろん、その情報開示をできないことだってある。
つまり、知りたい欲求に100%応えることは難しいんです。

大学は自分たちのすばらしい環境や教育、施設、サポート体制をアピールします。
どの大学も素晴らしいので、その優越すらわからなくなります。
しかし、親もバカではありません。どれだけ充実した環境でも、それをどう使うかは学生次第であることを。

だから、私は思います。せめてこれだけ教えてくれ!
「我が子をこの大学はどうしてくれるのか?」と。

 

● 高校生は何を基準に大学を選ぶのか?

高校生が大学を選ぶ基準についてのデータは数社から調査結果が開示されています。
その多くが下記の理由でした。

・学びたい学部・学科があるから
・就きたい職業や必要な資格をとるため
・偏差値や学力が相応だから

我が子を見ても確かにそうだと思います。しかし、よく考えると、「学びたい学部・学科がある」といっても、例えば経済学部なんて数えきれないほどの大学がある。
就きたい職業だって、資格だって、選択肢は沢山ある。そうなると「偏差値や学力が相応だから」というのが、きっとリアルな答えなのでしょう。

付け加えるなら、「知っているから」という理由です。
子どもが口にする志望校名も、それが如実に出ている気がします。

 

● ブランディングと認知は少し違う

子どもの「知っている」の「知っている=認知」は、一見ブランドと錯覚してしまいます。
しかし、子どもに「○○大学はどんな大学?」と聞くととたんに答えられなくなります。
つまり、名前は知っているがどんな大学かは知らないのです。

最近私は企業などのCI(コーポレート・アイデンティティ)の仕事もしています。
CIは「人に自分たちをどういう風に見られたいか?」ということをカタチにし、「そう見られてもいい自分たちを作り上げていくためのお手伝いをする」仕事ではないかと思います。

例えばブランドロゴやブランドステートメント(キャッチコピー)は、その会社を示すだけでなく、その会社の姿勢などを示しています。だから、消費者の方々は、その企業の名前やロゴやキャッチコピーを見て、その会社を連想し、さらにその会社のイメージを想像します。

子どもたちは、「名前は知っているがどんな大学かは知らない」という状態は、「その大学の名前やロゴをみて、その大学を連想できるが(=認知されているが)、その大学のイメージは想像できない(=完全にブランディングできていない)」ということと同じなのです。

 

● 私が思う“本当に必要なブランディング”とは

受験生や保護者にPRしたことは山ほどあるでしょう。しかし、それは完全には伝わらない。
そもそも受験生や保護者にとっては、その大学がどんなにすばらしいか?を知りたいのではなく、「自分にとって、我が子にとっていいか・悪いか」を知りたいんだと思います。
でもなかなか、その判断は難しい。だから、高校生はTwitterでリアルな情報を集め、Instagramで実際の様子を確かめようとする。
大学が発信しないといけない情報は、「私たちはあなたにとってこういう大学ですよ!」ということなのではないかと思います。

著者:株式会社357 取締役 末岐

>次に続く

 

 

 

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